シェルの実行権限について

シェルの実行権限について

シェルの実行権限について説明します。
シェルの実行権限とは、ファイルやスクリプトを実行するための権限のことを指します。
Unix系のオペレーティングシステム(Linux、macOSなど)では、ファイルには「読み取り権限」「書き込み権限」「実行権限」の3つの基本的な権限が設定されています。
シェルの実行権限は、その中でもファイルやスクリプトを直接実行できるかどうかを制御する権限です。

1. 実行権限の基本

ファイルの実行権限は、ファイルに対して「実行可能」な状態であるかを示します。
具体的には、実行権限が設定されたファイルは、シェルからコマンドとして直接実行できるようになります。
これに対して、実行権限がないファイルは、たとえシェルスクリプトであっても直接実行することができません。

実行権限の有無は、ls -lコマンドで確認できます。
このコマンドは、ファイルやディレクトリの詳細情報を一覧表示するもので、その結果として表示される各行の左側に「パーミッションビット」と呼ばれる部分があります。
例えば、以下のような出力が得られることがあります。

-rwxr-xr--

この出力の意味は次の通りです:

  • r:読み取り権限 (read)
  • w:書き込み権限 (write)
  • x:実行権限 (execute)
  • -:該当する権限がないことを示します。
  • rwxr-xr--の場合、ファイルの所有者(最初のrwx)には読み取り、書き込み、実行のすべての権限があります。

グループ(次のr-x)には読み取りと実行の権限があり、その他のユーザー(最後のr--)には読み取り権限のみが与えられています。

2. 実行権限の付与と解除

実行権限は、chmodコマンドを使って設定します。
例えば、スクリプトに実行権限を与える場合は、以下のようにします。

chmod +x script.sh

このコマンドでは、+xオプションを指定することで、スクリプトに実行権限を追加しています。
逆に、実行権限を取り除くには、-xオプションを使用します。

chmod -x script.sh

実行権限を付与されたスクリプトは、次のように直接実行することが可能になります。

./script.sh

実行権限がない場合、./script.sh: Permission deniedというエラーメッセージが表示され、実行できません。

3. 実行権限とセキュリティ

実行権限は便利な反面、セキュリティ上のリスクも伴います。
特に、悪意のあるスクリプトに実行権限が与えられている場合、システムに深刻な損害を与える可能性があります。
そのため、実行権限を設定する際は、そのスクリプトが信頼できるものであるかどうかを慎重に確認することが重要です。

また、実行権限を持つファイルがディレクトリに配置されている場合、そのファイルに対して不正にアクセスされないように、ディレクトリのパーミッション設定にも注意を払う必要があります。

4. シェルスクリプトの実行とユーザー権限

シェルスクリプトを実行する際には、そのスクリプトがどのユーザー権限で実行されるかも重要です。
通常、スクリプトはそれを実行するユーザーの権限で実行されますが、setuidやsetgidのビットを使うことで、ファイルの所有者やグループの権限で実行されるように設定することも可能です。
これらのビットを不適切に設定すると、権限の昇格攻撃に利用されるリスクがあるため、使用には十分な注意が必要です。