DNSのキャッシュサーバと権威サーバ
DNS(Domain Name System)のキャッシュサーバと権威サーバは、異なる役割を果たします。
以下はそれぞれの説明です。
DNSキャッシュサーバ(リカーシブサーバ)
役割:
- ユーザーのクエリに対して他のDNSサーバから情報を取得し、その情報を一時的に保存(キャッシュ)するサーバ。
- 次回同じクエリが来た場合、キャッシュから即座に応答することで応答速度を向上させる。
特徴:
- クエリを受け取ると、まず自身のキャッシュをチェックし、キャッシュに存在する場合は即座に応答。
- キャッシュにない場合は、ルートDNSサーバから順に問い合わせを行い、最終的に権威サーバからの情報を取得。
- 一定期間(TTL: Time to Live)の間キャッシュを保持し、その期間を過ぎるとキャッシュを破棄。
DNS権威サーバ
役割:
- 特定のドメインに関する正確なDNS情報を保持し、その情報を他のDNSサーバに提供するサーバ。
- ドメイン登録者が設定したDNSレコード(Aレコード、MXレコード、NSレコードなど)を管理。
特徴:
- 特定のドメインについての情報を正確かつ最新の状態で保持。
- クエリを受け取ると、保持している正確な情報を返答。
- 直接ユーザーからの問い合わせを受けることは少なく、多くの場合、リカーシブサーバ(キャッシュサーバ)からの問い合わせに応答。
具体例
1. ユーザーのブラウザが「example.com」にアクセスする:
- ユーザーのISPが提供するDNSキャッシュサーバに問い合わせを行う。
2. キャッシュサーバの役割:
- まず、キャッシュサーバは「example.com」の情報がキャッシュにあるかをチェック。
- キャッシュに情報がない場合、ルートDNSサーバに問い合わせを開始。
3. 権威サーバの役割:
- ルートDNSサーバ、TLD(Top Level Domain)サーバを経由して、最終的に「example.com」の権威サーバに到達。
- 権威サーバは「example.com」の正確なIPアドレスを返答。
4. キャッシュサーバの応答:
- キャッシュサーバは得られた情報をユーザーのブラウザに返答。
- 同時に、その情報を一定期間キャッシュに保存する。
これにより、次回以降、同じドメインへのアクセスが速くなる。
このように、キャッシュサーバと権威サーバは協力してDNSの応答速度を向上させ、インターネット上のドメイン名解決を効率的に行っています。