ハッシュ化と暗号化の違いやハッシュ関数について

ハッシュ化とは何か

ハッシュ化(Hashing)は、与えられたデータを固定サイズのハッシュ値に変換するプロセスです。
ハッシュ関数と呼ばれる特定のアルゴリズムを使用して、入力データから固定サイズのハッシュ値を生成します。
ハッシュ関数は同じ入力に対しては常に同じハッシュ値を生成し、わずかな入力の変更でも予測困難なランダムな出力を提供します。

ハッシュ化は、主に以下の目的で使用されます。
データの一意の識別:
ファイルやデータベースのエントリなどを一意に識別するためにハッシュ値が使用されます。
データの整合性の確認: データが変更されていないかどうかを確認するために、ハッシュ値を使用してデータの整合性を確認できます。
データが変更されると、ハッシュ値も変わります。

パスワードの保存:
パスワードなどの機密データを安全に保存するために、実際のデータではなくハッシュ値を保存することがあります。これにより、パスワードが漏洩しても元のパスワードが直接取得されることが難しくなります。

デジタル署名:
デジタル署名においてもハッシュ関数が使用され、文書の整合性を確認するために署名が行われます。
一方で、ハッシュ関数は衝突(同じハッシュ値が異なる入力で生成されること)を防ぐ必要があり、セキュリティ上の用途においては特に頑健で予測困難なものが求められます。
代表的なハッシュ関数にはMD5、SHA-1、SHA-256などがありますが、セキュリティ要件が高まるにつれてより強力なアルゴリズムが推奨されています。

ハッシュ化と暗号化の違いは?

ハッシュ化(Hashing)と暗号化(Encryption)は異なるセキュリティ目的で使用される概念です。

目的

ハッシュ化:
主な目的は、データを固定サイズのハッシュ値に変換して、データを一意に識別し、整合性を確認することです。
ハッシュ関数は不可逆であり、ハッシュ値から元のデータを取得することは通常難しいです。
暗号化:
主な目的は、データを非公開の形式に変換して、不正アクセスから保護することです。暗号化は可逆であり、正しい鍵があれば元のデータに戻すことが可能です。

可逆性

ハッシュ化:
不可逆であり、同じハッシュ値が得られることがある(衝突)ため、ハッシュ値から元のデータを逆算することは通常困難です。
暗号化:
可逆であり、正しい鍵があれば暗号化されたデータを元に戻すことができます。

鍵の有無

ハッシュ化:
通常、鍵は使用されません。同じ入力に対しては常に同じハッシュ値が生成されます。
暗号化:
鍵が必要で、正しい鍵がないと元のデータにアクセスできません。対称鍵暗号化と公開鍵暗号化があります。

用途

ハッシュ化:
主にデータの一意の識別や整合性の確認など、セキュリティ上の整合性の確認が主な目的です。
暗号化:
データの機密性を保護し、不正アクセスからデータを守るために使用されます。
例えば、パスワードの保存には通常ハッシュ化が使用され、データの暗号化はデータの機密性を保つために使用されます。

ハッシュ関数はどれを使えばいいの?

ハッシュ関数を選ぶ際には、具体的な使用目的によって選択されるべきです。
セキュリティ要件や性能の要求に応じて、適切なハッシュ関数を選択することが重要です。以下は一般的なガイドラインです。

セキュリティ要件が高い場合

SHA-256以上の強力なアルゴリズム:
SHA-256やSHA-3など、セキュリティ強度が高く、衝突の発生が難しいとされているハッシュ関数を選択します。SHA-3はNIST(National Institute of Standards and Technology)によって標準として推奨されています。

一般的な用途

SHA-256:
一般的なセキュリティ要件を満たすハッシュ関数として、SHA-256はよく使用されます。SHA-256はセキュリティが十分であり、一般的なパフォーマンス要件を満たすことができます。

パスワードの保存

遅延関数(Key Derivation Function, KDF)としてのハッシュ関数:
bcrypt、scrypt、またはArgon2などの遅延関数を使用することが推奨されます。これらは、ブルートフォース攻撃や辞書攻撃からの保護が強化されています。

特殊な用途

特定の用途に適したハッシュ関数:
特定の用途によっては、異なるハッシュ関数が適していることがあります。例えば、MurmurHashは非常に高速であり、特定の用途に適していますが、セキュリティ要件が高い場面では使用されません。
常に最新のセキュリティ勧告に従い、業界標準のアルゴリズムを選択するように心がけましょう。
また、ハッシュ関数のみでなく、その他のセキュリティプラクティスも組み合わせて使用することが重要です。